1人が本棚に入れています
本棚に追加
1週間後の雫
それから1週間が経った。
「おはよう」
「あ、雫おはよう」
教室に入り周囲の友達に声をかける。
「ねぇ、今日のテスト中止らしいよ。先生が休みで。」
「本当?ラッキー!」
「でも明日やるらしい。別の先生が代わりにやるんだってさ」
「それはアンラッキー……」
雫には3人の友達ができた。
お別れ会を提案した次の日、献花台を設置した日に勇気を出して声をかけてみた。
みんな快く仲間に入れてくれた。
それからは行動を共にしている。
雫にとって本当に充実している日々だった。
(案ずるより産むがやすしと言うけど、こんなことなら早く声をかければ良かった)
そんな気持ちもあるが、成長できたことに目を向けることにした。
ここ最近ジンが少なくなっているように思えた。
みんなの心が浄化しているということだろうか。
やはり献花台の効果は表れているようだ。
(全部上手くいってきている。だけどあとはこれだよなぁ)
雫は自分の手を見た。
神力は結局あの日以来何も変わっていなかった。
多少は発動時間が伸びたものの、大きさは神力を借りた時と同じである。
「鯉口」
名前を呼ばれ教室の外を見ると、咲羅がいた。
「え、咲羅くんじゃん、雫どういう関係!?」
「知りたい知りたい!」
「付き合ってんの!?」
「うーんと、特にどんな関係でもないんだけど、後でね……」
雫は質問責めに合う前に教室から逃げすように咲羅の元へ行った。
雫は咲羅の要件を聞く前に周りには聞こえないように言った。
「ちょっと、あまり私達が関わっちゃうと不思議がられるでしょ。私達共通点まったくないんだし。変な噂がそのうち立っちゃうよ」
「神力者という共通点があるよ」
「神力者ってことはバレちゃいけないでしょ。信じてもらえないだろうけど」
雫はあきれたように言った。
「で、どうしたの」
「先生が放課後集合だってさ。鯉口のクラスの担任、休んでいるけどあれジンのせいっぽいんだって。予定があってこれないなら僕が伝えておくけど」
「先生そうだったんだ。放課後でしょ、行ける」
「じゃあ放課後また会おう」
「うん」
そう言うと咲羅は隣のクラスに入っていった。
欠席していた生徒は徐々に復活し始めていて、雫のクラスでも8割くらいは戻っていた。
今日担任の先生が休みということは先ほど友達から聞いていたが、まさかジンのせいだったなんて。
(ジンの騒動は次から次へ来るから休む暇はないってことか)
雫はため息をするが、同時に成長の機会が増えることにワクワクしていた。
(私は私なりに頑張れば良い)
改めてそう心でつぶやくと、雫と咲羅の関係について問いただそうとする友達の元へ戻った。
〜終わり〜
最初のコメントを投稿しよう!