1人が本棚に入れています
本棚に追加
「拓也〜」
そう呼んだのは、幼馴染の凛子だった。
クラスも同じだからとても親しかった。
「何?」
「今日昼休み空いてる?」
恥ずかしそうに凛子は話す。
「あぁ、昼休みなら空いてるよ。」
「良かった、屋上で集合ね!」
何が言いたいのか楽しみな気持ちもあるが、
聞き出す勇気がなかった。
そうやって一人で考えていたら
凛子は教室に帰っていった。
僕は凛子のことが好きだ。
一緒に喋る時、可愛いって何度も思った。
もし凛子が僕のことを好きなんだったら
嬉しいな〜
そういっている間に昼ご飯の時間になった。
僕は、お母さんが作ってくれたご飯を食べて、
屋上に走って向かった。
最後の階段を登り、屋上に着いた。
扉を開けると、凛子が待っていた。
「ごめん、待たせた?」
拓也が聞くと
「うんうん、全然待ってない。」
良かったと思うも遅くなり、
本当は待たしていたような気持ちがあり、
申し訳なかった。
「で、話って?」
「拓也って好きな人っている?」
急に聞かれたので言葉が出なかった。
「まぁ、一人いるよ。」
そう言うだけで凛子のことが好きだって事を
言えなかった。
「誰?」
凛子が聞いてくる
「秘密」
「え〜、何で〜。」
「じゃあわかった、私が好きな人を言ったら拓也も
言ってくれる?」
凛子が真剣な顔で聞いてくる
「わかった」
真剣な顔で言われたのでそう答えるしかなかった。
「私は、拓也が好き!」
まさかとは思っていたが、本当に好きだとは思っていなかった。
「私言ったよ、拓也も言って。」
「僕は、凛子が好きだ!」
お互い真っ赤な顔をして見つめあった。
しばらくして屋上のベンチに二人で座った。
「ゴールデンウィークが近いよね。」
凛子が言った。
「そうだね」
「ゴールデンウィーク旅行行かない?」
「誰と?」
「二人きりで」
そう言われて言葉が出なくなったが、
「わかった。」
今度こそ返事ができた。
♪〜〜〜〜〜〜
昼休みが終わった合図のチャイムがなった。
「そろそろ戻ろっか。」
「そうだね」
最後の授業が終わって帰ろうとした時、
後ろから声が聞こえた。
「拓也〜」
「一緒に帰ろ!」
「うん」
駅に着き、電車が来た。
電車の中で話した。
「私、明日誕生日なの。」
「えっっっっ」
「そうなんだ〜」
あまり話しが続かなくなり、家に帰った。
急いで着替え、凛子の誕生日プレゼントを買いに行った。
その誕生日プレゼントとは、凛子が欲しいと言っていた本だ。
喜んでくれるかな〜と思いながら
一日を終えた。
「おはよ〜」
今日は珍しく凛子の方が先に来ていた。
「おはよう、今日は早いね。」
「だって今日は誕生日だもん」
凛子の顔は、笑顔でいっぱいだった。
「そうだな」
二人で喋っていると、先生が入って来た。
「授業は今日はなしだ。」
「何でですか。」
「異常気象で避難しないと行けないぐらいの今までにない
大雨が今日から明後日まで降るそうだからだ。」
教室の生徒は急いで荷物を持ち、
教室を出て行った。
「僕たちも行こう。」
そう言って振り向いたら。
凛子は机の中にある何かを探していた。
「あった!」
取り出したものは、入学式で僕と撮った
記念写真だった。
「良かった〜」
「早く行こう。」
「うん」
学校から拓也の家までは二駅自転車で行くと三十分かかる
自転車で家まで思いっきり走った。
雨が降る前に家にたどり着いた。
凛子は家まであと五分かかるので、今日は拓也の家に泊まるらしい。
すると扉を閉めた瞬間に雨が降ってきた。
「危なかった。」
「おかえり、ギリギリ間に合ったね。」
そう言ったのはお母さんだった。
「お邪魔します。」
「あら凛子ちゃん。」
「家まで間に合わないので、泊めてもらってもいいですか。」
「いいわよ、凛子ちゃんのお母さんにも知らせておくわね。」
「ありがとうございます。」
どんどん雨は強くなっていった。
最初のコメントを投稿しよう!