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お家デートを極める
昨夜キュン死寸前で座り込んだ一華。
そうっと額に手をやって、しばし龍輝のキスの余韻に浸っていた。
こんな初心なキス。初めてだわ。
でも、想いのこもった優しいキス。
大切にするよ―――
そんな龍騎の声が聞こえたような気がする。
なんだかお姫様としてかしずかれたような気分。気持ちいい!
誰だって子どもの頃に、一度や二度は素敵な王子様と巡り会って幸せになる夢を想像するわ。
でも、成長するにつれそれが如何に難しいかを実感するわけで。
疲れ切って諦めた頃、ひょっこりとこんなご褒美みたいな瞬間が訪れたら、生きていて良かったって思えるよね。
王子様のキスを、心行くまで堪能したい。
一華はゆっくりと立ち上がると、ベッドにダイブした。
枕に頭を沈めて悶える。
くーっつ! 嬉しい!
恥ずかしそうに赤くなった龍輝。
ちょー可愛いかった!
ベッドの上でバタバタと興奮しながら泳いだ後、ハッと我に帰る。
お化粧落として無かったわ。
でも、龍騎のキスの感触、もう少し感じていたいなぁ。
もうしばらくこうしていようっと。
寝転びながらLineにお礼とお疲れ様のメッセージを入れる。
その後は画面と睨めっこ。
龍輝、無事家に帰り着けたかしら?
ちょっと酔っていたみたいだから心配。
その心配は杞憂に終わってほっとした。龍輝からの帰宅のLine。
二人で『おやすみ』のスタンプを送り合う。
幸せ……
結局、そのまま寝てしまったのだった。
龍輝にとって今週末は、久しぶりの連休だった。
いつも土日のどちらかは出勤していたから。
スポーツジム&お部屋デートから帰ってきて一華にメッセージを送った後、ベッドに倒れ込んで直ぐに寝てしまった。
気が付けば陽の光がさんさんと降り注いでいる。
おお、明るくなってからの起床!
良く寝たー!
ん? 今何時だ?
慌てて起き上がって時計を確認すれば、とっくに昼の十二時を過ぎている。
一番最初にLineをチェックした自分に驚く。
俺もすっかり恋する男だな。
一華からは体調を気遣うメールが届いていた。
やっぱり、一華さんは優しいな。
と同時に、昨夜のあれこれが思い出されて、また顔が赤くなった。
『おはよう。今起きたところ』
眠そうな熊の顔のスタンプと一緒に送る。
あっという間に既読がついた。
待っていてくれたのかなと嬉しくなる。
『おはようございます! 頭痛く無いですか?』
『痛くないです。大丈夫。昨日は美味しかった。ありがとう』
『良かったです。そう言ってもらえて嬉しい』
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