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写真を撮り終わってから、改めてアルバムに視線を戻した。
美しい海とカラフルな生き物たちの姿に、一華は感嘆の声をあげながらページをめくる。
時々龍輝に尋ねると、喜々として説明を始めてくれるので、一華はそんな少年のような龍輝の顔を堪能することもできた。
「ここ、石垣島だよね」
「そうだよ」
「本島じゃ無くて石垣島にした理由は?」
「マンタとの遭遇率が高いから」
「ええ! マンタ! 会えた?」
「会えたよ。俺がいたダイビングショップはマンタの情報を集めて遭遇率を高める努力していたからね」
その後、龍輝は遭遇した時の感動を語り続けた。ダイビングをやってみたいと思っていた一華の気持ちに火が付く。
「特に九月から十月は産卵シーズンだから確率が高まる」
「いいなぁ。行きたいな」
「行こうか? いや、行こうよ」
「ほんと?」
「ああ、一緒に行こう。案内するよ」
「やった!」
一気に旅行計画が浮上。二人で夢中になって計画をたて始めた。
休みがとりづらい二人が長期休暇を合わせるのは至難の業だが、一華も龍輝も有休が一杯残っている。
「休み取ります!」
「よし、とるぞ!」
二人で高らかに宣言し合う。気合十分に明日申請しようと誓い合った。
「楽しみだな」
「私も」
帰りは龍輝が一華の家まで送って行って、明日からの仕事に備えたのだった。
翌日、互いに決死の覚悟で有休を申請。
一華は先日助けた田戸倉課長が快く承諾してくれたので、ほっと胸を撫でおろした。恩を売っておくことは巡り巡って己を助けるのだと痛感する。
龍輝の方は、どんな時も心強い先輩の五十嵐が、「行ってこい!」とアッサリ援護してくれた。
こうして九月下旬の旅行計画が順調に進むも、一華の頭には少しだけ心配なことが。
九月と言えば、台風シーズン。
特に沖縄は通り道なので、逃れられない。
「台風大丈夫かしら?」
ふと呟けば、胸を張る龍輝。
「俺、晴れ男だから」
笑い出す一華。
「晴れ男なのね」
「うん。旅行で天気が悪かった記憶無いから大丈夫だよ」
「じゃあ、期待している」
案の定、前の週までは台風が来たり雨マークが多かったり。
やきもきする一華だったが、龍輝の落ち着きに妙な安心感もあった。
別に、雨でもいいのか。二人でお泊りってことが一番重要なんだもの。飛行機さえ飛べば。
こうして、連休と上手く繋げて大型有休をゲットした二人は、七泊八日の石垣島旅行へと旅立つこととなった。
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