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次の日――。
全回復とまではいかなかったが、学校へ行き、お金がお財布からなくなっていたことを真凛に相談した。
「ええっ!?マジ?最低!」
真凛は私の話を聞き、彼氏が犯人だと思っている。
「いや、でも私の間違いだったらどうしようって……」
「間違いじゃないよ。ホント、詩葉の男運のなさ。そういう系を引き寄せてるの?」
ストレートすぎだよ。
「酷いよ!そんなわけないじゃん!」
実は、高校生の時から、世の中的には「クズ」と言われる男性とばかり付き合っている私。
大学で仲良くなった真凛でも酷いと思うくらい、そんな人との交際が続いていた。
「大学一年の時の齊藤はただのヤリ目。二年の時の大谷はメンヘラ束縛男。三年の時の菅谷はモラハラDV。今後は、ヒモ男?だって、デートはいつも家でご飯食べて、たまに泊まりにくるだけって。そんな話、ある!?だから最初からやめとけって言ったのに!」
過去の男性歴を言われ、よく覚えているなと感心してしまう。
三カ月以内で別れる恋愛が続いていたのに。
「連絡しても返事来ないんでしょ?具合悪い時になにもしてくれないとか。別に遠距離でもないのに。別れなよ」
そう、今の彼氏の小宮くんには昨日連絡をしてる。既読すらされない。
「あのね!詩葉!その一万円だって、必死でバイトしたお金でしょ?お財布からお金抜く奴はよくいるって聞くけど、私の周りでは初めてだよ。詩葉はいつも優しすぎ。それで相手に尽くしすぎだから。尽くしすぎる女は、必要じゃなくなったらすぐ捨てられるよ」
真凛の言葉に何も言い返せなかった。
私は昔から人に喜んでもらえることが好きで、笑ってくれることが嬉しくて。
だから相手に合わせすぎてしまうし、求められたらそれに応えたいって思ってしまうから。いつまでもダメな女なんだ。
しばらく、恋愛から距離を置こう。
真凛に正当な説教をされたあと、講義を受けるために学内を移動している時だった。
「なー。好きな子いてさ。セックスが下手って思われたくないから、練習したいんだけど。どうしたらいい?」
「えー。風俗行くとか?」
教室へ入ろうとすると、ゼミが一緒の男子三人が話している内容が聞こえてきた。
やだなぁ、この内容。知り合いだ。
真凛は違う講義からだ、私一人だし。なんか気まずい。
「あー。ゼミにさ、日向っているじゃん?俺、あいつと高校一緒なんだけど。性格が良いから、頼めばヤらせてくれるんじゃね?」
私の名前!?
教室へ入ろうとしたが、足が止まった。
「それ、性格が良いって言えんの?ま、なんか優しそうだし。顔普通だけど、練習相手くらいだったら良いかもな」
「えー。俺、嫌だな。タイプじゃない」
「ワガママだなー」
高い笑い声が教室に響く。
こんな会話、聞きたくない。
人が増えるまで教室には入らず、彼らには私がいたってわからないように離れるようにして座った。
私って、そんな風に見えるんだ。本当に都合の良い存在だよね。
昨日の出来事と今日の男子の会話が胸に突き刺さる。
いつか……。
ありのままの私を好きになってくれる人って現れるのかな。
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