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女は、ビジネスホテルで客室清掃のパートをしている主婦だった。
仕事中に幸運に恵まれた彼女はその後一層、客室を隈なく点検するようになった。またお金が落ちていることを期待して。
毎日毎日、どこかにお札が挟まっていないか、小銭がベッドの下に潜んでいないか、と目を光らせる彼女。時に清掃そっちのけで、お宝探しに夢中になるそのがめつさは、目に余った。
***
そんなある日のこと。
「ん?」
シーツを広げた際、わずかにカサッという音が聞こえた気がして、女は眉を寄せた。そして次の瞬間、その顔が期待に綻ぶ。
さっきのって、紙の音かな!?
紙だったら——ひょっとしてお札かもしれない!
彼女は、一万円だといいな、いや千円でもいいんだけど……とワクワクと妄想を膨らませて、床に頭を近づけてベッドの下を覗き込んだ。
すると、女は声にならない叫び声を上げた。
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