僕の完璧な旅行計画

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その週末には、押入れを整理して不要なものを全部ゴミに出す。空いたスペースに入るお手製のスライド式本棚を仕上げ、部屋のあちこちに山積みになっている文庫やら漫画やらをきっちり収める。そう決めていた。 ところが。 「そうだ。新婚旅行みやげ。……と、○○でマンホール巡ったときにもらった幟と、……ああこれは酔っぱらったときに運んできた××の看板。それに、ガレッジセールで仕入れた中古デスクにチェア。ほれ」 いらねーわ、そんなでかい不気味な鉄仮面に、謎の動物彫刻像に槍に弓に木魚? 幟は梁につっかかるわ、どっかの店の看板は返して来いよ! デスクなら間に合ってるし、そんでもって一体どんだけ前まで遡ったみやげだよっ。 ――と声にはせず、冷静な一言を放つ僕。 「今、僕は荷物整理してめっちゃ捨てようって局面。見てわかんない?」 「その若さで終活とかねーだろ」 終活じゃねえわ! ミニマリストと言ってくれ。アニキの無駄な荷物まみれで過ごした日々はストレス200%マックスだった! 知らんのか!  アニキのせいで予定が狂いまくる。いろいろキチンとしたい僕にとっては災いでしかない。 ただ、お陰様で緊急事態収拾能力がついてきた。 動揺を見せずに黙々と対応。この場合は淡々と片付けまくる。邪魔するなと背中と態度で示す。 そんな僕を、喜んでいるくせにあまのじゃくな奴だとあくまで都合よく解釈するアニキ。ひとしきり満足すればご機嫌になって自分の鼻歌で一人踊り出す。 ……めでたい。
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