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次の日、ネットニュースで恭弥の事故が取り上げられていた。
恭弥は刃物を持った女性に追いかけられ線路に侵入してしまった、と一緒にいた女性の証言があったらしい。
……私は追いかけたけど刃物は持っていないわよ。別の人よ。
そして、遺体の半分近くが消えて無くなり見つかっていないと。
「あらら。酷い事故だったから、どこかに飛んでっちゃったのかな。……折角だから右手も欲しいな。そうだ、『恭弥』を探しにあの場所へ行こう」
私は冷凍庫の中の恭弥の左手に「行ってくるね」と声をかけて、事故現場に向かう。
現場は跡形もなくキレイになっていたが、周辺では妙に人が多かった。
皆、探し物をしているようだ。
警察の方…ではなさそうだな。
ネットニュースに出ていたから、興味本位かボランティアで『恭弥』を探しているのかな。
私はその人達が自分と同世代の女性ばかりという事に気づかないまま、どこかに『恭弥』が落ちていないか探し続けた。
(了)
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