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「泣かないで、ミランダ」
「わ、私はとってもとっても寂しかったのよ!あなたが、そばにいなくて!」
寂しくて寂しくて、だから『離婚』なんて、馬鹿なことを口にした。そうでもしないと、この人はずっと口も聞いてくれないんじゃないかって……
「私は自信がなかったわ。病弱で、領主夫人としても何一つできない自分が。情けなかったの……」
「そんなことはない。ミランダ、君はいてくれるだけでいいんだ。それだけで私は……」
「いいえ!あなたは、姉と結婚するはずだった。姉が違う人と、駆け落ちなんてするから……!愛してもない私と結婚するはめになったのよ!」
「ミランダ!」
強い語気に体がビクリと跳ねました。
「すまない……でも、わかってくれ。私は君を姉君の身代わりなんて思ったことはない」
ぎゅっと抱きしめられました。久しぶりのぬくもりに驚いて固まってしまいます。
「ミランダ。私は君がよかった。私はこの通り仕事しかできない男だ。話もうまくない。でも君はこんな私の話を楽しそうに聞いてくれた。つまらない男と言わず、そばにいてくれた。だから……」
胸がドキドキする。まるで、恋したての娘みたい。
「ミランダ、君が好きだ。愛してる」
嬉しくて涙がこぼれました。
「アルファ様、私、その言葉をずっとずっと聞きたかったのですよ」
そう言って、アルファ様を抱き締め返しました。
その後、離婚の話はなくなりました。けれど、私はアルファ様に一つ、お願いをしました。
それは……
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