2-Aの邦親くん

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「サユにちょっかい出したのか?」 バイクに跨ったままの男の声に 「ううん、あっち」 両手の塞がる西名さんは顎で女子生徒を示す。 「現状は?もうイッてんの?」 「まだ」 「どっちも?」 「うん」 「1本も?」 「まだ。指の1本くらいハズしておこうか?」 「今はダメだ。照会はしてやる。偽名だったら永中まで送ってってやるから、そこでヤれ」 「きぃちゃんも丸くなったねぇ」 きぃちゃんというのか…男がグローブを外した左手の指をクイクイと動かして西名さんを呼ぶと、彼女はもう二人には興味なさそうにポイ捨てする。 そして落ちてたバッグを肩に掛けながら男の側に行くと 「あーん」 と口を開けて何かを口に入れてもらったようだ。 「あぁ…ぁの名前、間違ったっ…オレ…」 「残念。もう受け付け締め切ってるから、ごめんなさいね」 全くごめんなさいのトーンでないごめんなさいを吐いた西名さんの束ねた髪は、グローブを着け、シールドを下ろした男の手でとかれる。日常のことなのか彼女は軽く頭を揺らし、それが真ん中で止まった瞬間、ぐいっと彼女にフルフェイスのヘルメットが被さった。 カッコいい、可愛い、頭もいい、声もいいってどうなってんだ… 「西名さん、さっきの話」 俺が彼女に駆け寄ると、彼女はヒョイっとバイクの後ろに乗ってバッグを肩に掛け直した。
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