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女の子のやることって可愛いものだと思っていた。決めつけていたのかもしれない。
だから、わざとらしい甘えた声で呼ばれても、そういうものだと思っていたし、上目遣いも小さく舌先を見せて首を竦める仕草も、そういうものだと思っていた。
「どうかしました?」
おっと…じっと見つめ合う形になっていたようだ。
「ううん。俺は何もしてないから…あの子が秒で捻り上げたんだよ」
「助けてもらったけど、ちょっと怖いこと言ってたから…なんか…ちょっとヤバい人かなって怖くなっちゃいました」
「全然怖くないよね、あの子。去年同じクラスだったけど全然だよ」
1年の“怖い”発言に、怖いのは西名さんじゃなくて、とっくに走って逃げた永中の奴らだろ…と少しモヤッとしたが直季の言葉に合わせて微笑んでしまう。習性って怖いな。
「じゃ、気をつけてね」
「バイバーイ」
俺が軽く終わらせると、直季も手を振る。まだ何か言いたそうな彼女の友人が駆けてくる気配がしたので、俺は無駄な動きになるけど道を渡った。
「どうよ?邦親」
「何が?直季」
「コクった相手が超美少女って、どうよ?」
「ブスより断然いいだろ」
「西名さん、ジゲチの可愛さを見せちゃったからねぇ。明日から邦親のライバルが押し寄せるんじゃない?」
「こっちもジゲチでいく」
「どうやって?」
「あの強さ…」
そう言葉にした俺は、彼女より強いというのがどのレベルで次元なのか分からないと悶々と考えながら眠れぬ夜を過ごすことになる。
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