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2−Bの紗友美さん
うちの前でバイクが止まると、きぃちゃんの両肩を掴んでステップの上で中腰になる。右足を大きく上げてそのままバイクの左側に右足を着き、左足を地面に降ろして両肩を離すはずが…ぐいっ…
「何?」
手首を掴まれた。きぃちゃんはその手をすぐに離すとゴンッ…私のメットに手刀を落とす。
「明日から騒がしいぞ」
「そうかな?」
メットを脱いでインカムを切ってからボン…とメットをきぃちゃんに渡した。
「絶対だ」
「まあいいよ。どうにでもなるんじゃない?」
「まあな」
「ありがと。急ぐね」
「ん、用意してもらえ。ユキが待ってる」
「だよね」
中野喜市探偵事務所
ぐっと開ける磨りガラスに小さく書かれた文字を見て“何でも屋”だけどね、と思うのはいつものこと。
中野喜市は母方のじいちゃんのお父さん、つまり私の曾祖父の名前だ。きぃちゃんは、たまたま同じ“きいち”っぽい、森岡輝一郎っていう32歳の従業員であり私の家族。
ここの従業員は、きぃちゃんもユキちゃんもしもっちゃんもみんな私の兄で、時々パパみたいで家族。現在の事務所の代表は私の祖父、中野市朗太だ。
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