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彼女からもクラスメイトからも関わる訳では無かったけれど、互いに無視するような雰囲気でもなかった。学園生活に必要な最低限の会話は成り立つ。それで1年は終わったのだ。
「あの子が邦親に興味持つことってあるのかな?」
足を止めた直季のおかしな思考に付き合って俺も止まる。
「ちょっと大人っぽいから正季とか豪くん派かな?」
どっち派でも誰派でもいいんじゃないか?
「2年でも邦親に見向きもしない女子がいるんだね」
「何が言いたいワケ?」
C組の前で俺と直季が向かい合うと、キャーッだとか、ギャ~だとか、ぃやぁーだとか…ナンダソレっていう悲鳴の嵐だ。
「キスでもしとく?」
「遠慮する。で、何?」
「最近安泰っていうか、変化がないっていうか、毎日退屈がち。だから邦親がフラレるのを見るとか、ここで僕たちがキスしておくとか…よくない?楽しくなるよ?」
何が“よくない?”だ。ないのトーンを上げるな。
「フラレる決定?」
「だろ?興味なさそうだもん」
だもんも可愛くない。
「俺限定じゃないだろ?何にも興味なさそう」
「わっ、邦親が保身言語を使った」
「ナンダソレ」
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