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彼女がカワボで啖呵を切った相手は、悪名高い永中学園の男子生徒二人だ。
分かりやすく着崩した明るいネイビーの学ラン姿の二人が、うちの女子生徒の肩を掴んで絡んでいる。
マジかよ…西名さーん…戻っておいで…と心底思う。彼女より5メートル後ろの俺の隣に並んだ直季も、間違いなく俺と同じ気持ちのはず。
「聞こえたでしょ?その手をすぐに放しなさい。嫌がってるでしょ」
「喜んでる、の間違いじゃない?」
「そうそう、知らない仲でもないんだよねぇ」
二人がそう言うと、半泣き以上の泣き顔の女子生徒が小さく、でも西名さんにすがるように首を振った。
「大丈夫だよ」
西名さんははっきりとそう言いながら、迷いない足取りで3人に近づくと
「いてててててててっ…いたいって…」
一人の手首をひねり上げた瞬間、後ろで…どうなってる?手首と肘をきめてるのか?
「あんたが相手してくれんの?可愛いじゃん」
もう一人が西名さんのメガネを取ったその手を、メガネが落ちるのも気にせず彼女はまた同じように瞬時に決めた。
「っ…ぃったぁ…」
グシャ…暴れたソイツはメガネを踏むし、もう一人は体を戻そうとする。
「そんな動きをしたら、折れちゃうよ?今はキメてるだけなのに」
「あっ…」
「そう、大人しくね」
そう笑った西名さんは女子生徒の方を向いた。
「すっげぇ美少女発見」
直季が言った通り…メガネのない西名さんは超絶美少女グランプリNo.1だ。
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