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アルフレードside
エミリアと初めて会った時、可愛いと思った。
婚約者として週に一度、公爵邸に行くと庭を一緒に歩いていろいろと説明してくれるすがたに見とれるようになった。
妃教育が始まるともともと勤勉なエミリアが皆に褒められるようになり自分との差を感じるようになったある日、エミリアの母親が病死したと伝えられた。
悲しむエミリアを自分だけに依存するようにしたいと思うようになった。
喪が開けるか開けないかのタイミングで公爵代理であるエミリアの父親が外で囲っていたサルナシ男爵の娘と隠し子を公爵邸につれてきた。
継母と折り合いが悪いエミリアからの笑みが減って心配になったが、いつも「大丈夫です」の一言で済まされてしまうことに少し不満を持っていた。
隠し子のマリナは何かと俺にまとわりつくようになったが、俺の隣で甘えるマリナをみるエミリアの瞳に嫉妬を感じた俺はもっと嫉妬をして俺に感情をぶつけて欲しいと思った。
だから、マリナへ微笑み返しをしているうちにマリナだけは特別だと思うようになり、すべての考えがマリナ中心となった。
クランベリー伯爵令息であるハルト以外は皆、マリナがすべてでマリナの言葉こそが真実であると思いこみ、さらにはマリナの治癒魔法は万能だと思った。
何度もハルトには考え方を改めるようにと進言されたが、すべてはねのけ、さらにはハルトを遠ざけるようになった。
あの日、マリナの魅了が解消されたとき、自分が何を失ったのか気づいた。
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