断罪スタートってことですね

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断罪スタートってことですね

「たかだか治癒魔法が使える程度で聖女だと偽り、真の聖女であるマリナを虐めていたのだろう。嘘つきで性悪な女がのちに王妃になるなどあってはならない。よって、この場で婚約破棄を言い渡す。そして、マリナこそ王太子妃および王妃となるに相応しい。王太子アルフレードは聖女マリナとの婚約を宣言する」 そう言うとアルフレード殿下はわたくしとの婚約の儀でかわした誓約書を破り捨てた。 国王陛下と宰相が外遊中に急いでパーティを開いたと思ったらこんなことをしでかすとは。 なんて 素敵なのでしょう。 嬉しすぎてニヤけそうな顔を取り繕うのが難しいくらいでございます。 「このことは国王陛下はご存じなのでしょうか?」 一瞬うろたえた表情をしたが、アルフレード殿下はすぐ隣にべったりと寄り添っているマリナの肩を抱くと 「国王陛下が不在の今は、王太子である俺がすべての権限をもっている」 そう高らかに言い放つと、アルフレード殿下の金魚のフンもとい、側近およびマリナの親衛隊が そうだ! この悪女め! 嘘つき女! 偽聖女 などなど、わたくしに対しての罵詈雑言が聞こえてきましたが、まったく響きません。 というよりも、外遊中に事を起こそうと水面下で準備していたようですが、筒抜けでした。 爪が甘いというかおバカというか。 アルフレード殿下はもうおバカ殿下とお呼びしてもいいですよね。 マリナの周りには宰相の息子、近衛騎士団長の息子、侯爵家、伯爵家など取り巻きがおりますがそのうちのおバカ殿下の補佐をしているクランベリー伯爵家三男であるハルト様だけは一歩引いていらっしゃいます。 ハルト様はよくわたくしを気遣い、殿下を再三諫めていらっしゃったことで、常に殿下のすぐ後ろについていらっしゃったのが、おバカ殿下の隣にマリナそのすぐ後ろは宰相の息子である残念エルスト様が付くようになり気が付くと近衛団長の息子である色ボケハミルトン様、その他アホ令息どもが周りを固め、最後尾にハルト様が付くようになりました。 ハルト様のお家の事情でおバカ殿下だとしても従わざるを得ない為お辛そうです。 「わかりました」 ははははははは「認めたか!」 と下品な笑いとともに何か勘違いをしているようです。 「罪人を捉え即刻追放せよ。馬車くらいは用意してやる」 などとのたまっております。 我ホワイトカラント家は公爵家として代々聖なる力を持った聖女がこの国を守っておりました。 全属性を持っていた曽祖母の大聖女エレナさまが魔物や瘴気による穢れから土地を守ための結界をグズベリー王国丸ごと張ることでそれまで魔物討伐隊を定期的に編成したくさんの兵士の命を散らしておりましたが討伐隊を出す必要もなく、土地の浄化により不作にあえいでいた国民を救うことができ、そのため国力も上がり他国との力の差ができ外交でも優位に立つ事ができました。 そしてその結界を祖母である聖女ステラ、そして母である聖女ソフィアが守ってきた。 その結界をわたくしも母から継承しメンテナンスをしながら維持している。 一見しても何かあるように見えませんが魔物や穢れが入ることが無いため、この国は常に結界に守られて大きな天災もなく、魔物に荒らされることも、大地が穢れることもなくすごしております。 でも、それが当たり前となった王族、貴族はそして、ゲス男である父は母をないがしろにした。 だから国民も聖女の仕事を理解する事がなくなり、ただの治癒師くらいに考え、治療をするのは当たり前となった。 「エミリア!お前はもうホワイトカラント家とは絶縁する」 会場に響き渡るほどの声量で言いながら出てきたのは父でありゲス男のジェンド・ホワイトカラント公爵代理、そうあくまでも”代理” 「さっさとこの偽聖女を捉えろ」と実の娘に対して捕り物の指揮を取りはじめると数名の兵士がわたくしのもとに走ってくる。 が わたくしは風魔法を発動させ兵士をかわした後、上空でおバカ殿下とゲス父に対峙する。 「先ずは一つ目、わたくしが義妹であるマリナを虐めていたという話は証拠はございまして?」 わたくしが風魔法を発動させたことに驚きを隠せない会場内の人々とバカ丸出しのバカ殿を見おろす。 子供の頃お母様に言われたこと。 力は聖魔法のみを使い、それ以外の魔法は聖魔法で包んで隠しなさいと言われ、結界の維持補修と癒し魔法のみを使っていた。隠していたため魔力判定でも聖魔法のみが鑑定結果として登録されております。 お母様は聖魔法と闇魔法そして土と水魔法が使えましたが、わたしは曽祖母と同じ全属性をあつかえますが表立って使ったことはありません。 お母さまはいずれわたくしが父やもしかすると婚約者である、もう婚約者ではないおバカ殿下に裏切られる未来を予測していたのかもしれません。 お母さま自身がゲス父に裏切られたのだから。 「しょ、証拠はマリナの証言だっ。知っているぞ、噴水に突き落としたことや、足をかけて転ばせたこと。ドレスにぶどうジュースをかけたことなど数え切れないほどな」 そうだ!そうだ!と取り巻きも言い出したと思ったら 「殿下がマリナ嬢と一緒にいることに嫉妬したんだろ」などと、驚きの言葉が聞こえてきた。
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