画面の向こうと鏡の向こうはよく似ている

電話越しの記憶

　不意に携帯がなった。登録してない番号だった。
　いつもなら出ないのに、アプリで遊んでて画面連打してたから、誰かとか考える前に勢い余って押してしまった。

　「もしもし…」
　『あ、もしもし。蒼太？』
　ん、この声は
　「ゆづ…？」
　その呟きのような言葉を聞き逃さない母と姉だ。
　「え？」
　「電話変わりなさい」
　駆け寄ってきて耳元に顔を近づけ、何やら話している。こんな騒がしかったかな、この2人。

　「うるさい」
　いい加減面倒になったから2人を振り払うように別の部屋に逃げ込んだ。