セカイと書いて、文房具

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君は独り、学校の屋上で柵を越えようとしている。 きっと、もう宇宙全体が厭になって、後悔が溢れて、私なんて消えてしまえ、と投げやりになっている。それを、宙に放って「自分に」抵抗している。 ねえ、君へ。世界って、鉛筆と消しゴムみたいだ。 この世は、創造と消去で成り立っている。生命と生命がバトンを繋いで、僕らは今、世界に一つだけの鉛筆を握っている。 鉛筆の芯が折れたって、鉛筆削りを使えばいい。それと……君が最期の最期まで生き抜く世界を、僕が創造してみせるよ、なーんてね。 「ねえ、君は“生きろ”か“死ぬな”、どっちがお好きかな?」 君は来た道を引き返して、家へ帰った。
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