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明らかに話の流れがおかしい。なんで、ここで冷やし中華が出てくるんだ。
「冷やし中華がどうしたんだ?」
「俺は冷やし中華が大好物なんです。だから夏の間は黙秘を続いていました。でも、冷やし中華がもう出ないなら、俺はおとなしく罪を償います」
「おまえ、そんなことのために窃盗したのか?」
「そんなことのためにとは聞き捨てならないですね。あなたに冷やし中華の良さがわかるんですか!」
「なんで俺がおまえに責められないといけないんだ。それにおまえ、よく喋るな。今までの黙秘が嘘のようだ」
「俺は冷やし中華のためなら何だってしますよ。俺は冷やし中華となら結婚してもいいと考えています」
「意味不明だ。取調室で過ぎた今までの時間を返して欲しい!」
そこまで話して俺はあることに気づいた。
「そういえば、明日からカツ丼だと言ったが、おまえが冷やし中華が良ければ明日も冷やし中華にできるが」
板垣が目を丸くして涙を流した。
「刑事さん。今話したことは全てなかったことにしてください。お願いします!」
「できるわけないだろ。馬鹿な奴だな!」
季節は秋に変わり涼しくなろうとしていた時、取調室では今までの静けさが全くなくなり熱気を帯びていた。
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