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『報告はどうした?』
大人の遊びを体験したのが土曜日。14時開始の16時終了。
「終わり」さんにその日のうちに、報告すべきか、正直、迷った。
結局、なんか恥ずかしくて、できなかった。
日曜日も、迷った挙句、連絡できず。
そして月曜日、覗いてみれば、報連相がないことを怒る上司みたいな感じで、メッセージあり。
何て言ったら理解してもらえるかな?
相手をしてくれた女性への感謝、初めて身体に触れることができた喜び、その後に訪れた虚しさというか、この妙な心持ち。
お金なくして、僕が触れていい人なんていない、僕に触れてくれる人なんていない。
『いや・・あの、何て言ったらいいのかわからなくて』
『楽しかった?』
『まぁ、それなりに』
『上手くできた?』
『いや・・・もう、全部、お任せって感じで。僕は、何もしてないというか、いや、してないわけじゃないけど、触ったりはしたけど、もちろん許可を得てです、はい』
『気持ちよかった?』
『うーん』
初めて女性に触れたり、触れられたりして、もちろん喜びはあるけれど、気持ちよいってのとは違うような。緊張しすぎてたせいでしょうかね。
『あ・・・唇が柔らかくて、それが、すごい良かったかも』
あの2時間を振り返って、一番ドキドキしたことはキスだったかも。
『ふーん、ファーストキスか』
『ですね。というか、ホテルに入るのも、触れるのも、見るのも、何もかもが初めてで。情報過多で処理しきれなくて覚えてない』
『はは、まぁ、童貞男子が、最初から上手くいったらこわいわ』
『ですかね』
『で、ちゃんと出せたの?』
こんな問いに、正直に答える必要があるはずないんだけど、でも、僕は「終わり」さんには嘘がつけない。
『口と手で、いろいろやってくれたんですけど、何か駄目そうなので、もういいです、十分ですって言いました』
『ふーん』
『あ、でも、最後に添い寝してくれて、15分ぐらいかな。そういうのが、すごく良かったです。恋人的なの、ちょっと味わえた感じ』
『ふーん』
『緊張してて、僕は寝れなかったけど、その人は、いろいろして疲れたのかな、寝息が聞こえて、寝顔が見れたの、なんかよかった』
『ふーん、楽しめたなら、よかった、よかった』
よかったのかな? まぁ、生涯一度も触れることなく、触れられることなく死ぬよりかは、ね。でも、同時に感じた虚しさを、何て伝えたらいいのかな。
『でも、何か変わったかって言われても、何も変わらないです。思い出が一つ、増えただけかも』
『笑笑笑笑笑笑笑、そんなの、Hしたぐらいで全て解決するなら、みんな苦労しねーよ。思い出大切、これを支えに生きていくがいいさ』
20歳、夏の思い出。でも、緊張しすぎてて、僕は女性の顔すら、すでに、ちゃんとは思い出せない。
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