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『寂しすぎてどうしようもない』
『立ち上がれない』
『震えが止まらない』
立て続けに「終わり」さんからメッセージが届いたのは、夏の終わり、9月の4週目、金曜日の夜、23時過ぎ。
僕は『大丈夫?』って、とにもかくにも急いで返信した。
『もう無理、何もかも嫌。お願い、今すぐ、三ノ輪まで来て』
え? なにそれ? 困惑しかない。だって、僕ら、6年を超える付き合いだけど、リアルで会ったことない。
『お願い。何も言わずに、ギュってして。抱きしめて』
え? いやいやいや、どうしたの? 大丈夫? そんなこと、僕に頼む? だって今、埼玉の川越の自宅だよ。車の運転は仕事柄もちろんできるけど。まぁ、この時間なら道も空いてる。100分もあれば到着できるか。いやいや、行って、会ってどうする? 抱きしめるって? そんな芸当、僕にできるわけないじゃない。というか、コレ、悪ふざけ? 何? 本気で言ってる?
どう応えたらよいのか、正解がわからない。
ただ僕にとって、「終わり」さんは、唯一、感じたこと、考えたこと全てをぶちまけることができた人だから。
そんな大事な人が本当に困っているのなら、望んでいるのなら、僕にできることがあるのなら、何でもやらなきゃいけないんじゃない?
だって、僕を救ってくれた人だ。救世主だよ。
あの頃、「終わり」さんと繋がることができなかったら、僕は、今、この世界にいないかもしれないわけで。
悪ふざけなら、怒るけど・・・。いや、違うか。その方がいい。悪戯なら、それで全然かまわない。
『今から行きます。住所は?」
って、送ってしまって、すぐに後悔。いや、家は流石に駄目だよね。
『あの、近くの駅とか、コンビニあります? 体調、悪いですか? 何か必要なモノはありますか?』
僕は、今も親元暮らしだから、体調不良で独りきり、部屋で回復を待つ孤独さとかって、未経験だ。でも、一人暮らしの同僚の方から、そんな時の辛さは、何度も耳にしている。
身体の不調に加えて、精神的にも、打ちのめされるような何かがあったかも。まぁ、「終わり」さんが一人暮らしかどうかも、知らないけどさ。
僕が「終わり」さんの元へと向かう、この行動が正しいかどうか、わからないけど。僕らの6年間が終了するかもしれないけれど、僕が、今、できることがあるなら、やるべきだよね。
『ありがとう』
『ごめん。落ち着いた』
『大丈夫だ』
0時をまわって、こんな短文が立て続けに届いた。
僕は着替えも済ませて、パソコンの前で、スマホを片手に、いつでも飛び出せる状態で待機していたのだけれど。
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