1人が本棚に入れています
本棚に追加
キーンコンカーンコン。本鈴がなり子供達は皆一せいに自分の席に着いた。みちよは自分の席についても蓮太と蓮太の母親のことが気にかかって仕方がなかった。授業中に蓮太のことを盗み見ると蓮太もまた気がそぞろといった様子で落ち着かないようだった。
3時間目の休み時間がほとんど終わりかけのころ、多くの父兄が教室に集まってきた。授業参観である。多くの子供達は自分の親を見つけて楽しそうにおしゃべりをしていた。しかし、そんな中でも蓮太の母親はまだ来てなかった。蓮太はぼやきながらずっと教室の出入り口を見ていた。「いつものお母さんならもう着いている頃なのに。どうしちゃったんだろう。お母さん・・・」
みちよは自分の母親に手を振ったり、とひょうひょうとした態度を取りながらも蓮太の母親のことを気にかけていた。「どうしたんだろうね?いつもなら一番に来たりするのにね」康介と小首をかしげていた。
そして蓮太の心配通り、4時間目の授業開始を告げるチャイムが鳴っても蓮太の母親は姿を見せなかった。
最初のコメントを投稿しよう!