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こうして翔哉たちが乗り込んだ一年A組のバスは、四台のバスの最後尾をゆっくりと走り出した。
前方から席が埋まっていったこともあり、翔哉と麻耶は一番後ろ、トイレと向かいの席に座っていた。右の窓際に麻耶、隣の通路側に翔哉、そして、その前の席に二シートを独り占めする形で恵留が座っている。
座るや否や麻耶は寝る体勢に入った。車内に持ち込んだ制定の補助カバンを頭上の棚に載せながら、翔哉は麻耶の様子を見守る。
麻耶が自分の補助カバンを枕に、シートに体を沈め、目を閉じた。
(うん、来ただけで偉い)
そっと彼女の前髪に触れた。黒目勝ちの瞳は固く閉じられ、長いまつ毛の下に小じわとクマが見えた。
麻耶が寝息を立てる頃、曇っていた空から雨が落ちてきた。パタパタと窓を水滴の打つ音が聞こえる。
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