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「ねえ、千葉っち」
恵留は千葉の袖を引っ張って引き寄せた。
「森の中に安心して休憩できるところがないか、調べに行かない?」
「確かに。のぞみ先生の言うことにも一理あるよな。いい加減疲れた」
「それに、食べ物はダメでも、木の実や川の水なら大丈夫じゃないかな」
「えええ、それは余計に怪しい気がするけど。でもまあ、行ってみるか、偵察に」
話が決まったら、即行動だ。
「ちょっと、森の中を見て来る。のぞみ先生の言うように休憩して、しっかり歩けるように体力を温存しなきゃダメだと思うし。だから、千葉っちと森を探索してみる。桃香は先生とここにいて」
「おけ。気を付けてねー」
敬礼の真似をする軽い対応の桃香に対し、麻耶は厳しい視線を送って来た。
「バラバラになるのは危険だよ」
「ちょっとそこまでよ」
千葉も隣で、食堂から持ち出した包丁をちらつかせている。
それを見て、軽く唇を噛んでから、麻耶が釘を刺してきた。
「いいわ。でも絶対に鳥居があってもくぐっちゃダメだよ。たとえそこに休憩に適した社があったとしても」
「う、うん」
強く言い渡され、戸惑いながらもうなずいた。
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