五 秋山恵留

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「ねえ、千葉っち」  恵留は千葉の袖を引っ張って引き寄せた。 「森の中に安心して休憩できるところがないか、調べに行かない?」 「確かに。のぞみ先生の言うことにも一理あるよな。いい加減疲れた」 「それに、食べ物はダメでも、木の実や川の水なら大丈夫じゃないかな」 「えええ、それは余計に怪しい気がするけど。でもまあ、行ってみるか、偵察に」  話が決まったら、即行動だ。 「ちょっと、森の中を見て来る。のぞみ先生の言うように休憩して、しっかり歩けるように体力を温存しなきゃダメだと思うし。だから、千葉っちと森を探索してみる。桃香は先生とここにいて」 「おけ。気を付けてねー」  敬礼の真似をする軽い対応の桃香に対し、麻耶は厳しい視線を送って来た。 「バラバラになるのは危険だよ」 「ちょっとそこまでよ」  千葉も隣で、食堂から持ち出した包丁をちらつかせている。  それを見て、軽く唇を噛んでから、麻耶が釘を刺してきた。 「いいわ。でも絶対に鳥居があってもくぐっちゃダメだよ。たとえそこに休憩に適した(やしろ)があったとしても」 「う、うん」  強く言い渡され、戸惑いながらもうなずいた。
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