一 中田翔哉

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 ――雨の日。傘を持って迎えに来た麻耶の祖母が、白い靄の立ち込める路上で、小学生姿の彼女に話すのだ。 「この世の道とあの世に続く道は見分けがつかないから気を付けなさい」と。    そして、先に続く道を指して言ったらしい。 「ここから先は死者が行く道」だと。  それから 「死者の国の食べ物は口にしてはいけないよ」  ……そう諭して、独りあの世へと続く道を行ってしまう。
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