一 中田翔哉

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「つまり、あたしが死ぬ目に遭うってことじゃないの。例えば林の中で遭難するとか」  麻耶がさらっと言った仮説に、翔哉は歩くのを止めた。そのせいで、後ろを歩いていた麻耶が翔哉の背中にぶつかった。 「もう、ショウったら、急に止まらないでよ」 「お前が物騒なことを言うからだろ」 「だから行きたくないって言ってんじゃん」  麻耶が肩でため息を吐いた。 「そっか」  さすがに麻耶の言うことを信じるとはいえ、ただの夢だけでは、遠足を欠席する理由にはできなかった。 「大丈夫だ。俺が麻耶を守ってやるからさ、だから俺から離れるな」  良いことを言ったつもりだったのに、麻耶の眉間には皺が寄っていた。 「気休めでもやめて。ショウが隣にいたら目立つから。ほかの女子に妬まれちゃうじゃん」 (どういう意味だよ)  納得できないし、気休めで言ったつもりでもない。隣にいるのがダメならば、せめて近くで見守っていよう――と、翔哉は密かに決心する。
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