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「つまり、あたしが死ぬ目に遭うってことじゃないの。例えば林の中で遭難するとか」
麻耶がさらっと言った仮説に、翔哉は歩くのを止めた。そのせいで、後ろを歩いていた麻耶が翔哉の背中にぶつかった。
「もう、ショウったら、急に止まらないでよ」
「お前が物騒なことを言うからだろ」
「だから行きたくないって言ってんじゃん」
麻耶が肩でため息を吐いた。
「そっか」
さすがに麻耶の言うことを信じるとはいえ、ただの夢だけでは、遠足を欠席する理由にはできなかった。
「大丈夫だ。俺が麻耶を守ってやるからさ、だから俺から離れるな」
良いことを言ったつもりだったのに、麻耶の眉間には皺が寄っていた。
「気休めでもやめて。ショウが隣にいたら目立つから。ほかの女子に妬まれちゃうじゃん」
(どういう意味だよ)
納得できないし、気休めで言ったつもりでもない。隣にいるのがダメならば、せめて近くで見守っていよう――と、翔哉は密かに決心する。
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