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運命的な再会
ある日、妃乃から電話があった。
「え、舞台のチケット……?」
『そう、陽生日華の主演舞台!実は大千穐楽のチケットが手に入るんだけど、あかり行かない?』
まさかの申し出に心臓が飛び上がるかと思った。
「ど、どうして?」
『天王寺のコネで手に入るチケットが余ってるらしくてさ。私は行けないし、旦那も興味なさそうだからあかりどうかなって』
「で、でも星來がいるし……」
『夜だけご両親に預かってもらえない?ちょっとした息抜きにもなるかなって思ったんだけど』
正直とても気になる。
でも星來がいるし、何より生の舞台はうっかり見つかってしまうかもしれないリスクがあるから避けていた。
『無理にとは言わないよ?ただ、興味あるならチケット取るよ』
「……ちょっと親に相談してみる」
『わかった!また教えてね』
一応親に聞いてみたら、夜だけなら全然大丈夫と快諾してもらえた。
どうしよう、行ってみちゃう……?
調べてみたらなかなか大きな劇場なので、恐らく私だと気付かれることはないだろう。
マスクをしたらきっとバレないはず。
すごく正直に言えば、日華さんの生の演技、とても見たい。
ダメってわかってるけど、まさか気づくはずないよね――。
私は妃乃に「行きたいです」とメッセージを送信した。
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