運命的な再会

6/12
前へ
/194ページ
次へ
* * *  翌日。真っ赤に腫れた目を冷やしてから、星來を保育園に連れて行く。 「じゃあね、星來。今日も頑張ってね」 「ママ」 「ん?」 「ママ、げんきないの?」 「……!」  星來の前では笑顔でいようと努めてたのに、ダメだな……。  私はしゃがんで星來に視線を合わせ、頭を撫でた。 「大丈夫。元気だよ」 「ほんと?」 「うん。ママ、星來がいてくれるからいつも元気」 「せいらのおかげ?」 「星來のおかげ」  すると星來はふにゃっと嬉しそうに笑った。  私は愛娘をぎゅっと抱きしめ、改めて行ってきますをした。  そうだ、私には星來がいる。  何より大事なのは、星來が幸せでいられること。  父親がいなくても不幸だなんてことはないんだから。  何があっても、絶対に星來の傍にいよう。  気を引き締め直して出勤したら、打ちひしがれるような事実を伝えられた。 「えっ契約終了……!?」 「申し訳ないけど、派遣さんを雇う余裕がなくなってきてしまって……今月中で終了とさせてもらいたいんだ」 「そんな……!」 「本当に申し訳ない。加賀美さんが悪いわけじゃないけど、上の決定でどうしようもなくて……」  突然の契約終了通告。  つまり来月からは無職になってしまう。
/194ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3305人が本棚に入れています
本棚に追加