3305人が本棚に入れています
本棚に追加
「にーちかさーん、にーちかさーん」
「星來、それお歌?」
「にちかさんのうた!」
「なあに、それ」
よっぽど響きが気に入ったのかな……?
何とも言えない気持ちで楽しそうに歌う星來を見つめた。
その時、ふと昨日キャンディをもらったことを思い出す。残念ながらキャンディはまだ星來には食べさせられないので、私がもらおうか。
包み紙を開けると、赤色の球体がコロンと出てきた。口に入れてみると、ふわりと苺味が広がる。
甘くて美味しい。
口の中で飴玉を転がしながら、包み紙を折り畳もうとした時、何か文字が書いてあることに気づく。
広げてよく見てみると、なんと電話番号が書かれていた。
その下には「良かったらまた会いたいです。」という綺麗で繊細な文字が。
これは間違いなく、日華さんの字だ。
慌てて広げた包み紙をくしゃっと丸めた。
誰にも見られてはいないと思うけど、思わず周囲を見回す。
まさか、こんなものが書かれていたなんて……。
「……どうして」
わざわざこんなものを用意していたの?
あんな態度を取ってしまったのに、それでもこれを私に渡してくれたの?
こんなもの渡されても、連絡できるわけないのに……。
「ママ〜、あれなあに?」
最初のコメントを投稿しよう!