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「――とりあえず、ルームツアーはこんなところかな。洗濯機も使いたいタイミングで使って」 「はい、ありがとうございます」 「あと、冷蔵庫やストックにあるものは何使っても食べてもいいから。生活費も家賃も必要ない」 「そ、それ……ほんとにいいんですか?」  このマンションの最上階は中二階のある作りになっていて、階段を登った二階の一番奥に私の寝室とウォークインクローゼット、その隣は書斎で、空き部屋という名の本の部屋が続いている。野分くんの部屋は階段に一番近い部屋だ。一番奥が落ち着くだろうが場所まではどうにもいかないと言うと、首が落ちんばかりに振っていた。ちなみに家賃のことを確認するのもこれで5度目になる。 「いいも何も、今一番懐が薄い時でしょう? そういうのを気にするのは分厚くなってからでも遅くはないよ。今はそんなこと特に気にしないで生活して……ところで今手持ちはあるの? しばらく生活費渡そうか?」 「いいです! ちゃんとあります!」 「そう? ならいいけど……ちなみに、さ」 「はい?」 「……年、いくつ?」  最重要項目を最後に聞くのは人事面接なんかでよくあることだけど、この時の私はそんなに深い意味はなく、好きな食べ物を聞くくらいの軽い気持ちで聞いていた。
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