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セミの鳴き声がけたたましく鳴り響き、熱い日差しが照りつけている。
行き交う人は帽子を被り、日傘を差し、汗だくになりながら、歩くのも辛そうにしている。
温暖化の影響なのかここ、東京の府中市でも、過去最高の気温を記録していた。なるべく外に出ない様にと、注意報まで出ているくらいである。
「くそ。また負けた」
そんな暑い夏休みの午後、商店街の一角であるお肉屋、榎本ミート本宅の地下の部屋で、ゲームをしている真っ黒に日焼けした少年が、悪態をついた。
彼の名前は榎本勇気。小学校五年生。榎本ミートの一人息子である。
「ムボーちゃんは上手いよ。ボクなんかより全然」
隣で炭酸を流し込みながら、身体の大きい少年がそれに応える。
彼の名前は大山民雄。勇気と同じく、小学校五年生。二人とも、府中裏山小学校の生徒である。
「まぁな。キル六、塗った面積も一番多かったしな。お前がもっとサポートしてくれたら、勝てたのにさあ」
民雄がほめた事で、勇気は調子を取り戻した。どうも、すぐに調子に乗ってしまうところが彼の良いところであり、短所でもある。
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