とつげき! 我らふしぎ俱楽部!

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1  セミの鳴き声がけたたましく鳴り響き、熱い日差しが照りつけている。  行き交う人は帽子を被り、日傘を差し、汗だくになりながら、歩くのも辛そうにしている。  温暖化の影響なのかここ、東京の府中市でも、過去最高の気温を記録していた。なるべく外に出ない様にと、注意報まで出ているくらいである。 「くそ。また負けた」  そんな暑い夏休みの午後、商店街の一角であるお肉屋、榎本ミート本宅の地下の部屋で、ゲームをしている真っ黒に日焼けした少年が、悪態をついた。  彼の名前は榎本勇気。小学校五年生。榎本ミートの一人息子である。 「ムボーちゃんは上手いよ。ボクなんかより全然」  隣で炭酸を流し込みながら、身体の大きい少年がそれに応える。  彼の名前は大山民雄。勇気と同じく、小学校五年生。二人とも、府中裏山小学校の生徒である。 「まぁな。キル六、塗った面積も一番多かったしな。お前がもっとサポートしてくれたら、勝てたのにさあ」  民雄がほめた事で、勇気は調子を取り戻した。どうも、すぐに調子に乗ってしまうところが彼の良いところであり、短所でもある。
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