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「少しだけで良いから。頼むよ」
勇気は両手を拝んで頼んだ。
「いいんじゃないか、後は父さんやっておくから」
店の奥から、由夢の父の昭久が顔を出した。
「やだよ、勇気の事だから、どうせ下らない話だもん」
由夢は勇気を横目で見て言った。勇気と目線が合うと、しかめ面をした。
「かわいい顔が台無しじゃねえか」と勇気は思った。
「そう言うなって。勉強の相談なんだろ」
「そうそう、ですです。さすがおじさん、分かってる!」
勇気はそう言うと、嫌がる由夢を自分の家へと引っ張っていった。
「おう、由夢ちゃん、いらっしゃい」
店を通って本宅に上がろうとする勇気と由夢に、太一は声を掛けた。
「おはようございます」
「これ、持ってくよ」
勇気はそう言って、ラムネを二本、店の冷蔵庫から取ろうとした。
「お前の分は小遣いから引いとくからな」
「...え、マジ」
勇気はラムネを戻そうとしたが、誘惑に負けたのか、そのまま二本とも持って行った。
「ごちそうさまです。お邪魔します」
由夢は丁寧にお礼を言うと、勇気の後に付いていった。
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