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活字を読むと眠気に襲われてしまう勇気は、めまいにも似た感動を覚えた。
「発表形式は決まっていても、題材は自由だからね。府中市に関する事、って言う縛りはあるけど」
どうもこの少年、のめり込んだらとことんやる性格で、計画性がある様で、意外にも効率が悪いのがたまにキズだった。
「何をやるか決めてから、資料集めた方が良かったんじゃね?」
頭は悪いが、機転の利く勇気が思わずツッコむ。
「ちょうど夏休みだし、本を読んで過ごそうと思ってたから、ついでだよ」
痛いところを突かれたからか、ごまかすように勉は早口で弁解した。
「これだけあれば、何個も自由研究出来ちゃうね」
民雄の天然ボケが発揮されると、勇気と勉は声をそろえ、
「何個もやるわけねえだろ」
「発表するのは一つだけって決まりだから」
と反論した。
「そ、そうだよね。何にする? ベンちゃんは何が良いとかあるの?」
慌てて、勉へと話を振る。
「そうだなあ、やっぱり府中の歴史、これには興味があるなぁ。奈良時代から平安時代にかけて、武蔵国府が置かれていて、古墳跡もあるし、色々と調べる価値があると思うな」
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