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「めんどくね? もっと楽で楽しいのにしようぜ」
明らかに楽をしたい勇気が反論する。
「この前テレビで観たんだけどさ、怪談話とか面白くない? アクロバティックサラサラって奴とか」
「え~、怖いのはやだよ~」
恐がりの民雄が、身体の大きさに似合わない可愛い声を上げた。
「それって、都市伝説みたいなもんでしょ。確かオカルト掲示板で話題になった」
「そうそう、何だ、詳しいじゃねえか」
勉の意外な反応に、嬉しそうに勇気が身を乗り出した。
「一応最低限、知識は入れておかないとね」
勉は興味のある事以外にも、色々と勉強している。そのせいか、案外とテストの成績は振るわないのであったが。
「なら、ちょうどいいや。怪談話にしようぜ」
言うが早いが、勇気はノートにでっかく「恐怖の怪談話特集」と書き上げた。
「あのさ、人の意見をまず聞こうよ。君の悪いクセだよ」
いかにも嫌そうな顔の民雄を目で示しながら、勉がたしなめた。
「じゃ多数決にしようぜ」
「いや、ボクも正直あまり乗り気じゃない」
「だよね、だよね」
助かったとばかりに、民雄は大きく頷く。
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