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「何でだよ。夏にぴったりだし、面白そうだろ」
「柳田国男先生も妖怪については書いているし、民俗学的な観点からは面白そうだけどね。でも、本当にある事の方が取材しやすいと思うな」
「現に起きてるじゃねえか」
「あれは作り話でしょ」
「作り話でも怖い物は怖いよぉ...」
「実際に起きれば、文句ねえんだな」
「しっかりとした証拠があればね」
「よし、言ったな。忘れるなよ」
売り言葉に買い言葉、二人は言い合いになってしまった。
「絶対に証拠見つけて、説得してやるからな」
「やれるものなら、やってみなよ」
「...ボクの話聞いてる?」
結局、三者三様の言い分は平行線をたどり、決着を見ないまま、今日はお開きとなった。
その日の夜、ご飯を食べながら、勇気は両親に怪談話について聞いてみた。
「怪談かぁ。懐かしいな。学校の怪談とか、子どもの頃流行ったな」
父の太一はビールを飲みながら、しみじみと思いをはせた。
「トイレの花子さん、とかね」
母の夕子も同意した。二人は同じ高校の同級生なのである。
「何じゃそりゃ」
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