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「トイレに住んでる女の子の幽霊だよ。アニメにもなってたなぁ」
「映画もよくやってたし、あの時ブームだったんだね。今思うと」
「小学校の時、廊下の床にチョークかなんかでチューリップがいたずらで描かれてて。花子さんが出た! って大さわぎになったなぁ」
二人は想い出話で盛り上がり始めた。
「他にはないの?」
それに便乗して、勇気は話を広げようと試みた。
「口さけ女は知ってるだろ?」
「? 聞いた事はあるけど」
「『私、きれい?』ってマスクをした女の人が聞いてくるんだよ。で、振り返って見てみると、その女の人がマスクを取る。すると、口がこ~んなにさけてるんだ」
太一は手を大きく広げて、わざと怖がらせる様に言った。
「それで?」
「それだけ、だったはず」
「何だよ、それ」
期待に胸をおどらせていた勇気は、がっかりした。
「きれいじゃないって言うと、刺されるんじゃなかったっけ?」
「そうだっけ?」
「うわ、逆ギレかよ」
「足も速いんだよ、たしか」
「アクロバティックサラサラと一緒じゃん」
「最近はそんな奴がいるのか」
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