季節外れの転校生

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季節外れの転校生

「皆さんおはようございます。さて、察しのいい子は気づいていたかと思いますが、この6年2組に転校生がやってきます」 いつも通りの朝の会の、いつもと違う先生の言葉。その瞬間、静かだった教室が急に騒がしくなった。あまりのやかましさに、あたし、猫宮アリスも思わず本から顔を上げる。 あーあ、せっかくいいところだったのに。これじゃあ集中できやしない。でも転校生か。今読んでいる怪談の次くらいには気になるかも。 怪談本に栞を挟んで机にしまって、頬杖をついて黒板の方を見る。 「転校生、男子かな、女子かな!」 「5月終わりの転校って、変なタイミング!」 「席って、多分廊下側の空いてる席だよね?」 「よっしゃ!おれ隣じゃん!」 「アリスはどう思う?」という後ろの子の質問に、どんな子なんだろうね、と返しておく。強いて言うなら、あたしと同じ趣味を持った子だったらいい。つまり、怪談が好きだったらいいなと思う。なにせ、このクラスの子たちはみんな怖い話が苦手みたいだから。女子たちが恋バナで盛り上がっているのと同じように、あたしも怪談で盛り上がれる仲間が欲しい! 「それじゃあ、入っておいで!」
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