Sweet Pain : i can't get it out of my head / 未だ頭を離れない恋のこと

4/9
前へ
/9ページ
次へ
 僕は、そばの公衆電話から彼女のアパートに電話を入れた。  初めて彼女に掛ける電話に緊張した。  深夜なので電話口ですぐさま僕が名乗ると、いつも通りのエイミーの優しい声がした。  途端に電話の向こうが急ににぎやかになる。 「エイミー、誰? 誰?」  そういう女性の声がしたが、その他にも男女の笑い声が聞こえた。  エイミーが僕の名を告げると、なおにぎわいが増す。  今度は、僕が訊いた。 「誰が来てるの?」  彼女は、サークルの先輩たちが遊びに来ているといった。  僕はその夜彼女のアパートに皆で行く約束があったことを知らなかったし、そもそも知らされていなかった。それで僕は少なからずショックを受けた。  サークルのメンバーのほとんどが僕の彼女にたいする恋心を知っていて、この扱いだったため、メンバーへの不信感を一気に強くした。  エイミーは、今そこにいるメンバーの名前を五人ほど上げた。  リーダーはいないようだったが、そのうちの一人があの門倉だった。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加