雨宿り~Side:朔~

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俺がリビングに戻ったあと、しばらくして、萌も着替えを済ませて脱衣所から出てきた。 「着替えありがとうございます。」 「あ、いえ。」 俺のスウェットを着ている萌を見た時、不覚にも見惚れてしまった。 髪がまだ少し濡れているせいもあるかもしれない。 彼女の色気がただ漏れている。 「彼女さん、居るんですね。」 「は、はい?」 突然の萌の言葉に、俺は思わず聞き返した。 「脱衣所に歯ブラシが2本あったので。」 「ああ。」 「あら?案外慣れてる?」 「何がですか?」 「何も言い訳しないから。」 「元々、隠すつもりもありませんから。」 俺は答えた。 「私で何人目?」 「何人だろ?って、あ。」 「ふふっ。そっちが本当の朔さんですか。」 しまった。 つい、口が滑った。 「良かった。朔さんに彼女が居て。」 「それはどういう意味?」 「私、彼女が居る人しか好きになれないんです。」 「人のものが欲しくなるってやつ?」 「うーん、なんだろ?人のものって萌えません?」 「いや、俺にはよく分からない。」 「嘘だ。朔さんなら分かるはず。だって、私たち似た者同士でしょ?」 俺はとんでもない女性と関わってしまったようだ。 でも、まぁ、そっちがその気なら俺も遠慮はしないけど。
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