雨宿り~Side:朔~

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「私、今日、浮気相手と別れたばかりなんですよ。朔さん、慰めてくれますか?」 「そうやって、いつも男を誘ってるのか?」 俺はソファーでくつろいでいる萌に問いかけた。 「いつもは、寂しいから慰めて?っていいます。」 「なるほど。」 「でも、朔さんはこのキャラ好みじゃないですよね。」 「ああ。1番、苦手なタイプ。」 俺は正直に答えた。 そして、ソファーに座っている萌の頭を撫でた。 「まだ髪濡れてる。」 「拭いて?」 俺は萌からタオルを受け取ると、彼女の髪を拭き始めた。 萌には俺の思考が読まれている。 今更、取り繕っても無駄だ。 「ほら、できた。」 「ありがとう。」 「なんだ?」 「私、そっちの話し方の方が好き。」 萌は俺に微笑みかけた。 「なら、服乾いたら帰れよ。」 「それは嫌だ。」 「なんでだよ。」 「まだ朔くんと居たいから。」 「俺と居て何したいの?」 俺は萌に顔を近づけた。 「お酒飲んだり、」 「うん。」 「テレビ観たり、」 「うん。」 「話したり、」 「うん。あとは?」 俺と萌の視線がぶつかる。 きっと、ふたりとも同じことを考えている。 「あとは...」 萌は俺の唇に一瞬触れた。 「それだけ?」 「朔くんの意地悪/」 「酒とってくる。ビールでいい?」 「うん。」 俺は萌をリビングに残し、席を立った。
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