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押す前に引け~Side:朔~
今、俺の部屋には好みの女性がいる。
今日知り合ったばかりの彼女は、今まで出会ったどの女性とも違う。
やっと巡り会えた俺の理想のひと。
だからこそ、今夜は手を出さない。
俺の本心はまだ晒さない。
いうならば、押す前に引けだ。
だが、一言だけ伝えよう。
彼女の心に俺が棲みつく言葉を。
「俺、本当にいいなと思った人とは簡単に浮気しないんだ。」
萌の表情が一瞬、変わった。
それを俺は見逃さなかった。
俺と萌は似ている。
最低な者同士、これから楽しもうじゃないか。
だけど、それは今じゃない。
今夜は一緒に眠るだけ。
萌を優しく抱き締めながら、俺は眠りについた。
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