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明久くんがしたことは立派な犯罪だし、このまま野放しにしていたら次にいる現れるかわからない。
ナイフなんて持参している人だから、今度こそ殺されてしまうかもしれないのだ。
恐怖心が全身をかけぬけたとき、靖くんが笑っていることに気がついた。
その粘ついた笑みは明久くんへ向けられていて、あたしは言葉を失っていた。
靖くんのこんな表情初めてみた……。
そう思った次の瞬間靖くんは明久くんへナイフを向けたのだ。
明久くんは後ずさりをする。
「ちょっと、靖くん?」
「こいつは俺たちにとんでもないことをしたんだ。少しくらいやり返したって平気だろ」
靖くんはジリジリと明久くんに近づいていく。
「で、でも。早く警察に知らせたほうが良いよ」
この状況を見たら、靖くんが悪者だと判断されてしまいそうだ。
だけどあたしはそれ以上靖くんをとめることができなかった。
ニタニタと笑って明久くんに近づいていくその様子が、恐ろしかったからだ。
次の瞬間靖くんがナイフを振り下ろしていた。
無抵抗な明久くんが咄嗟に両腕手自分の顔をかばった。
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