2669人が本棚に入れています
本棚に追加
手足の肉付きが増し、時たま天使のように笑う斗和は、我が家のアイドル的な存在だ。
特にレグルシュは、千歳が声をかけなければ、何時間も斗和の側にいてずっと見つめていたりする。
斗和の額に手のひらを置いてその上にキスを施すと、名残惜しい表情を残し料理の支度に取りかかった。
千歳も手伝おうとキッチンのほうへ向かう。
「何か手伝いましょうか?」
「千歳は休んでいてくれ。料理はほとんど仕込んでおいたから、後は仕上げだけだ」
「でも」
テーブルでは義姉夫妻が人数分の皿と箸を並べている。
レグルシュに促され、千歳はそちらを手伝おうとしたところ、ユキがとことことキッチンまでやって来た。
「何だ、つまみ食いでもしに来たか?」
「ユキもお手伝いする!」
レグルシュは「いらん」と断ると、ユキは地団駄を踏んだ。
せっかくやる気になっているのにかわいそうだ。
千歳は顔にくしゃっと皺をつくっているユキを抱き上げ、洗い場で手を洗わせてやる。
「サラダだけ先に出しますね。後はお願いしていいですか?」
「……ああ。頼む」
レグルシュがバレットの中で冷やし固めていたクリームコロッケを揚げているうちに、千歳とユキはサラダの盛りつけを手伝うことにした。
最初のコメントを投稿しよう!