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レグルシュが暗い顔をしているのが、気にかかったのだろう。
斗和は駆け寄ってきて、さっきレグルシュにもらった肉を食べさせようとしている。
「パパどーぞ!」
「ああ、ありがとう」
「ママも食べて!」
「ふふ、ありがとう。斗和」
撫でてやると、斗和はオリーブ色の瞳を輝かせた。
少なくなった斗和の皿を見て、ユキが自分の分を分けてあげている。
ユキはすっかり頼もしい兄貴分だ。
「ユキにぃありがとう!」
「どういたしまして! 味わって食べようね。レグがドラゴンになるからね」
「うんっ。あじあって食べようね」
「お肉おいしーね! ほっぺがとろけそう……」
「と、斗和くんもっ。ほっぺがとろけそう!」
友達に「斗和くん」と呼ばれているので、息子はたまに自分のことを名前で呼ぶ。
両手で柔らかい頬を持ち上げて、競うようにもちもちとさせている二人が可愛い。
「斗和くん。たくさん喋れてすごいわね。言葉を覚えるのも早かったものね。可愛いし、ご近所さんでも幼稚園でもモテモテでしょう?」
──あ……その話題は。
バーベキューの肉を美味しそうに頬張っている二人を、スマホの画面に収めていたレグルシュは、エレナの発言に分かりやすいほど反応した。
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