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はじめまして
──こんにちは。はじめまして。
病院の一室で、周防 千歳は伏せたまま、傍らで眠る我が子に声をかけた。
産まれたばかりの赤ちゃんは白いふかふかのシーツに包まって、すやすやと安らかに眠っている。
可愛い寝姿をずっと見つめていると、ふいに病室のドアを叩く音がした。
「失礼します」と看護師が入室する。
体温と血圧、体調のことを問診され、千歳はまだ少し術後の痛みが残ることを話した。
看護師が退室したのち、すぐに主治医を伴って現れ、経管から鎮痛剤が投与される。
「食事を摂ったら、少し眠ってもいいですか」
看護師と主治医は「もちろん」と、笑顔で答えてくれる。
そして、出ていく二人とはち合わせるようにして、長身の男が病室のドアを勢いよく開けた。
「千歳っ!!」
「レグ……っ?」
ブロンドの髪を振り乱しながら、レグルシュがベッド横に駆け寄る。
ここまで急いできたのか、顔は興奮で赤くなっているし、息も切れている。
「大丈夫か!? 身体は」
「だ、大丈夫だよ。すごい汗だね……走ってきたのっ?」
「あ、ああ……悪い。出先で連絡を取れなかった」
きっとこの病室までレグルシュは突っ走って来たのだろう。
千歳が困ったような顔をすると、レグルシュはばつが悪そうに頭をかいた。
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