溺愛アルファは運命の恋を離さない

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義姉夫妻と新郎新婦は、揃って頷いた。 離れたところで、式に来賓した人達にスピーチを褒められていたユキも、こちらに戻ってきた。 デザートか何かをもらっていたのだろう。口の周りには食べた跡が残っている。 「あらあら。ユキちゃん。こんなに大きくなって!」 菫は久しぶりの孫との再会に喜ぶ。 が、ちゃん付けを嫌っているユキは、可愛い顔にくしゃっと皺をつくり、むすっとした声を出した。 「ちゃんじゃなぁい!」 「ごめんなさいね。ユキくん」 「ばあば間違えないでね!? 斗和も男の子だからねっ」 式が終わった後、しばらく離れていたユキと斗和は、磁石が引き合うように抱擁を交わした。 千歳とレグルシュよりも熱烈だ。 「にいぃー!」 「とわー!」 数時間程、お互いに姿が見えなかっただけなのに、まるで数年ぶりに会ったかのように、ハグをしたり頬をくっつける。 ガーデンテラスに差し込んだ日が二人を照らし、まるで洋画のワンシーンのようだった。 ふいにテーブルの下で手を握られて、千歳は自然と隣にいるレグルシュのほうを向いた。 午後のたおやかな日差しに包まれ、花の蜜の香りをのせた風が吹く。 「千歳。これからもよろしく頼む」 「はい。こちらこそ。末永くよろしくお願いします」 交換したばかりのリングを指でなぞりながら答える。 レグルシュの手は、最後に千歳の腹部を優しく撫でて去っていった。 初夏に咲く花は、千歳とレグルシュの新しい未来を祝福してくれているかのように、咲き誇っていた。 『溺愛アルファは運命の恋を離さない』fin.
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