二人の天使

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二人の天使

今日はママとパパの結婚式。 二人はいつもかっこいいかわいいけれど、今日はぼくもびっくりするくらいかっこよくてかわいかった。 ユキくんはしばらくみんなとお話して、またどこかへ行ってしまった。 ぼくも着いていこうとしたけれど、いつの間にかいなくなってしまったのだ。 ママとパパもみんなも、ずーっとおしゃべりをしている。 飽きないのかな、ってぼくは心配だ。 「まぁーま」 ママの服をつんつんと引っ張って、ぼくはもう帰りたいと言った。 ママは優しく抱っこしてくれる。 「斗和。もう疲れちゃった? ホテルでねんねする?」 「ママも!」 「ママはまだいないといけないから。ねんねだけしに行く?」 疲れたんじゃなくて、ユキくんがいないからママとパパと遊びたいのに。 それを言ったら甘えんぼうみたいだから、ううんと首を振った。 今度はパパのお膝の上に乗せられる。 「おいで。斗和」 「きゃあ」 パパはぎゅーっとしたり、ぼくの頭の匂いをかいだりする。 家では許してあげてるけれど、みんなの前でそういうことをされると恥ずかしい。 パパはいつもべたべたに甘くて優しい。 でも、ぼくの気持ちをちっとも分かってない! ぼくはパパのお膝から飛び出すと、どこかへ行ってしまったユキくんを探す旅に出た。
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