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「斗和……!」
「大丈夫だよ、レグ。ユキくんのところへ遊びに行くだけだから」
──ぼくのことなんて、全然心配してくれてないっ!
振り返っても追いかけようとはしてくれず、二人はおしゃべりに戻っている。
今さらパパのお膝に帰れなくて、ぼくは庭をひたすら走った。
──ママとパパラブラブし過ぎ!
ぼくにはほっぺにキスしかしないのに、口にちゅーっとしたりしている。
二人はこっそり隠しているつもりなのかもしれないが、実は気付いている。
ぼくは空気を読んで、知らないふりをしてあげているのだ。
「わあ! お花が落ちてる!」
拾ってみると、それは花びらが重なったものだった。
綺麗なお庭には、いろんな色の花びらが落ちている。
あとでパパとママにも見せてあげよう!
拾い集めるのに夢中で、いつの間にか知らないところまで来てしまった。
二人のところへ帰ろうと、来た道を戻っていたつもりだったけれど、いつまでも同じ景色で、帰れなくなってしまった。
「ママぁー! パパぁー!!」
──斗和くんのこと忘れて帰ってたらどうしよう……!
ずっと歩いていたせいで足も疲れてきた。
不安でえんえんと泣いてしまい、ぼくは花壇の近くに座った。
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