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「当たり前じゃない! にぃ大好きだからけっこんするよ!」
ママとパパはとっても幸せそうだった! 泣いてて「どこかいたいの?」ってぼくが聞いたら、二人は「うれしくて幸せだから泣いてるんだよ」って。
よくわからなかったけれど、ママとパパは泣きながらにこにこ笑っていたのだ。
ユキくんもぼくと同じで嬉しそうだった。
目をくしゃっとさせて、ユキくんは笑った。ママとパパみたいな顔で。
外に出てみると、さっきよりも暗くなっていてぼくたちは驚いた。
夜になっちゃう前に帰らないと。
「斗和ー!」
「どこにいるのっ? 斗和ー!」
ママとパパの声が聞こえてきて、ぼくははっとなる。
時々、ユキくんの名前を呼ぶ声も。
声がするほうへ、ぼくたちは手をつなぎながら走った。
「ママぁー! パパぁー!」
さみしかった気持ちが今さらあふれてきて、ぼくはパパに抱きしめられながら泣いた。
パパもさみしくてちょっと泣いていたのか、ぼくを呼ぶ声がいつものかっこいい声じゃなくて、ガラガラに震えてる。
「一緒にいてあげればよかった……っ。ごめんね、斗和」
「もー、ママ泣いちゃだめ! 斗和くんがぽんぽんしてあげるから泣きやみなちゃい」
ママが悲しそうに言うから、もっと泣いてしまった。
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