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「ユキくんとどこに行ってたの?」
「にぃとはねぇ、けっ……」
ぼくの手がつんつんと引かれた。
ユキくんが指をまっすぐにして「しー」の合図をしている。ぼくは目を見て頷いた。
「けっ……けろちゃん!」
「何それ?」
「けろちゃんを見てたの!」
パパは隣で「けろちゃん……かえるを見ていて迷子になったのか」と、一人で何か言っている。
ぼくはママに抱っこされながら、そうだそうだと何回も首を振った。
パパが抱っこを代わると、いつもみたいにべたべたにキスをされる。
「かえるちゃんのぬいぐるみを買いに行こうか。明日」
「いらない!」
「え」
パパはなんでかびっくりした顔をしている。
また目がうるうるとしてきたので、ぼくは泣かないでとほっぺにちゅーをしてあげた。
そうすると、パパの胸にぎゅうぎゅうとされてしまった。
今日はママとパパの結婚式。
そして、ユキくんと特別なキスをした日。
ぼくとユキくんはまた目線を一緒にすると、えへへと笑いあった。
fin.
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